伊賀上野ふたたび

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爰に草鞋をとき、かしこに杖を捨て、旅寝ながらに年の暮れければ、

年暮ぬ笠きて草鞋はきながら

といひゝも、山家に年を越て、

誰が聟ぞ歯朶に餅負ふ丑の年

現代語訳

ここに草鞋をとき、あちらに杖を捨てて、旅寝のままに年が暮れてしまうと、

年暮ぬ笠きて草鞋はきながら

笠を着て、草鞋をはいて、旅のいでたちのままに、年は暮れてしまった。

と言いつつも、山里の家に年を越して、

誰が聟ぞ歯朶に餅負ふ丑の年

いったい誰の婿だろうか。牛の背中に、羊歯を添えた鏡餅を乗せて、その牛を追い行くのは。まさに丑年の、正月のこの山里に。

語句

◆「誰が婿ぞ~」…「歯朶(しだ)」は「羊歯」。シダ植物の総称。餅に添える。「負ふ」と「追ふ」、「牛」と「丑」が掛詞。


野ざらし紀行 地図3

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解説:左大臣光永