樋口兼光の最期

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主君の死を知る

木曽四天王の一人樋口次郎兼光は、
義仲から離反した新宮十郎行家を討つため河内方面に向かっていましたが、
都で戦が起こったと聞き、急ぎ引き返します。

樋口兼光、河内から京へ
【樋口兼光、河内から京へ】

が、その間に都には義経軍が押し寄せ、
義仲は粟津の戦いで討ち死に。樋口の弟今井兼平も自害しました。

木曽義仲、今井兼平 討死
【木曽義仲、今井兼平 討死】

都へのぼる途中、義仲と今井の死を知った樋口次郎兼光は
配下の者たちに言います。

「お前たち、わが君に通わせる心がまだあるのら、どこへでも行って僧となり、
わが君の菩提を弔ってくれ。俺は都へのぼり討死して冥途にてわが君と
ふたたびお目にかかり兼平とまた会おうと思う」

こう言って樋口は都へ攻め上りますが、
最初は五百騎ほどいた味方は次々と去っていき、
鴨川と桂川の合流地点に近い鳥羽のあたりにさしかかるころには
わずか二十騎ほどとなっていました。

樋口兼光 鳥羽へ
【樋口兼光 鳥羽へ】

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降服

都を守護する義経軍は樋口次郎を迎え撃つべく朱雀大路を南へ向かい、
羅生門のあたりで合戦となります。しかし樋口がひきいるのはわずか20騎。
もとより戦になりませんでした。

樋口兼光 対 源義経
【樋口兼光 対 源義経】

そこで、義経軍の中に樋口と縁故のある児玉党の者が降服をすすめます。
児玉党とは武蔵に拠点を置く武士団の一つですが、その児玉党の者が
降服をすすめます。

「木曽殿の下に今井兼平、樋口兼光ありといわれたあなたではありますが、
今やその木曾殿は討たれました。
あなたはもう十分に筋を通されました。降服なされよ。
我らの勲功にかえてもお命だけはお助けいたします。
死ぬばかりが忠義ではござりませぬぞ。
生きて主君の菩提を弔うこそまことの忠義というもの」

「…わかった」

こうして樋口は降服します。

義経による助命嘆願

降服した樋口に、義経が対面します。

「あなたが木曽にきこえた四天王の一人樋口兼光殿ですか。
御高名は常々うかがっておりました。
こたびはたまたま敵味方にわかれて争うこととなりましたが、
もとより源氏同士。何の遺恨もあろうはずはございません。
法皇さまも、けして悪いようにはなさりますまい」

「九郎殿…かたじけない!」

こうして義経は樋口の助命を法皇にうったえます。
しかし、かたわらの公卿殿上人・女房たちがワアワア言いはじめました。

「院の御所法住寺殿に義仲が押し寄せ、法皇さまの御身をおびやかし奉り、
多くの者を殺した時、あそこにもここにも今井・樋口の名が
とどろいていました。それを助命など、考えられません」

結局、義経による助命嘆願もむなしく、樋口は死罪と決まりました。

首渡し

寿永3年正月24日、義仲と今井以下五人の首が
京都の町中を引きまわされます。
樋口兼光はさかんに首のともをしたい旨を訴えたので
許され、藍摺の水干立烏帽子姿で主君の首の共をします。

(殿…お痛ましいお姿になられて。樋口もすぐにそちらに参りますぞ)
そんなこと思ったかもしれないですね。

翌日、樋口は斬られました。

一の谷

一方、平家一門は四国讃岐の屋島に拠点を置いていましたが、
昨年の水島の合戦における勝利で勢いづいたことで
摂津一の谷に進出。ここに前線基地を築き虎視眈々と
都の奪回をはかっていました。

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一の谷は、北は山、南は海、口はせばくて奥ひろし。
岸たかくして屏風を立てたるにことならず。
北の山ぎはより南の海のとほあさまで、大石をかさねあげ、
おほ木をきッてさかも木にひき、ふかきところには、
大船どもをそばたてて、かいだてにかき、
城(じょう)の面(おもて)の高矢倉には、一人当千と聞ゆる
四国・鎮西の兵物(つわもの)ども、甲冑・弓箭を帯して、
雲霞の如くに並み居たり。
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≫次章「三草山合戦」



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