重盛のいさめ

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こんにちは。音声コンテンツ制作・実演・販売の
左大臣光永です。

連続して『平家物語』のお話、特に平清盛のお話
おとどけしています。

≫音声が再生されます

『平家物語』は清盛のワーッと激情家なところ、
残虐非道な面を力強く描き出していきます。

が、

一方でホロリとさせる、ニヤリとさせる、
清盛の人間くさい部分にも注目しています。

平家に対するクーデターとも言うべき
鹿谷事件は事前の内部告発によって発覚します。

怒り狂った清盛は、事件の首謀者を
次々と捕縛していきます。

西光法師、俊寛僧都、丹波少々成経、
そして実質的な中心人物、大納言藤原成親。

ある者は処刑され、ある者は島流しになり、
清盛の処罰は苛烈を極めました。

両雄並び立たず~清盛と後白河法皇

そしてとうとう事件の黒幕、後白河法皇に
清盛は手をのばします。

後白河法皇は、引退した天皇が現役天皇にかわって
政治を見る…「院政」という仕組みによって、
絶対権力者として君臨していました。

「両雄並び立たず」の言葉どおり、
もともと清盛とは共存しえない存在です。
清盛か、後白河か、いずれどちらかがつぶされる、
そんな関係だったと言えます。

しかし後白河法皇は清盛の妻時子の妹、
建春門院滋子を妃としており、
清盛とは親類関係にありました。

清盛と後白河法皇、両者の間は
親類関係により、バランスが保たれていたといえます。

ところが後白河法皇のお妃、
建春門院滋子は、早くに亡くなってしまいます。
清盛とのつながりが、平家とのつながりが、
途絶えたわけです。

そこで後白河法皇は、
いよいよ清盛への対抗意識をロコツにし、
今回のクーデター計画、
鹿谷事件へとつながっていったわけです。

清盛キレる

で、
清盛もいよいよキレます。

「わられ平家は保元の乱、平治の乱と、
命をかけて法皇に奉公してきた。
その報いがこれか!このままでは平家は朝敵として
つぶされかねん!
法皇の身柄を拘束してしまえ!」

鎧で固めた武者たちをズラーッと並ばせて、
馬も並べて、清盛自身も法衣の下に鎧をまとって小薙刀を持って、
今こそ襲撃の時と、準備を整えておりました。

父を諭す

そこへ、

長男の重盛がやってきます。車から降り、
門をくぐると、ずらーっと無骨な武者たちが
軍馬を整えています。

「なんたること…」

重盛は直衣に立烏帽子というキチッとした正装で、
しずしずと衣擦れの音をさせながら、
武者たちの間を通り過ぎ、父清盛の元へ向かいます。

「何?重盛がたずねてきた?ちっ…
またクドクドと言われるのか…」

ふと見ると法衣の下に鎧の板がはみ出しているので、
ささっと隠します。

「父上」
「おう重盛か。成親卿や西光法師はしょせん小物よ。
法皇こそ平家に仇なす元凶ぞ。これも世の乱れを事前にふせぐためじゃ。
法皇さまには鳥羽殿か、この西八条に御移りになってもらって…」

ブワッと、重盛泣き出します。「ど、どうした?」

「人の運の傾く時は悪事を成すものです。
いやしくも太政大臣の位にあらせられる方が、
そのような無骨な鎧をまとって!しかも父上は
御出家の身ではありませんかッ!仏にお仕えする者のやることですか
平家の今日あるはすべて朝廷の御恩。臣下が君に背き奉るなど!
もう平家はおしまいです」

こんな調子でクドクドクドクド…
息子は父をさとします×2

さしもの気性の荒い清盛も、あの、西光法師の顎を
バカーンと引き裂いた、残虐非道の清盛も、

「いや、そこまでおおげさな話では無いのだ、わしは…」

「よーくわかりました。それならば父上は御勝手になさればよい。
重盛は法皇さまをお守りいたします」「なっ!」

「君への忠義をつらぬこうとすれば親への孝にそむき、
親への孝を果たそうとすれば君への忠義を絶たれる…
苦しい立場です。皆の者ッ、
われと同じ志のものは着いてまいれ!!」

ぞろぞろぞろーと、みんな重盛の館についていってしまいます。
焦る清盛。「重盛はわしと戦をしようというのか。どういうつもりなのだ」
数珠をさわりさわり、心にも無い念仏を唱えながら
清盛は戦々恐々としていました。

とうとう清盛は後白河法皇の身柄拘束をあきらめます。

さしもの気性の荒い清盛も、あの、西光法師の顎を
バカーンと引き裂いた、残虐非道の清盛も!
息子の前ではヘナヘナっとなってしまう…。

清盛の人間くさいところが出ていて、ニヤリとさせられる
エピソード「教訓状」です。

≫続き 「徳子の懐妊」

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