終日ねむり臥す

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昨夜いねざりければ、心むつかしく、空のけしきもきのふに似ず、朝より打曇り、雨折ゝ音信(おとづる)れば、終日ねぶり臥したり。暮に及て去来京に帰る。今宵は人もなく、昼臥たれば夜も寝(いね)られぬまゝに、幻住庵にて書捨たる反故(ほご)を尋出(いだ)して清書(せいしょす)。

現代語訳

昨夜寝なかったので気分がすぐれず、空の気色も昨日のように晴れていない。朝から曇り、雨が時々降るので、一日中眠り臥していた。暮になって去来が京に帰る。今宵は人もなく、昼寝ていたので、夜も眠れないままに、昨年幻住庵で書き捨てた草稿を清書する。

語句

■心むつかしく 気分がすぐれない。 ■幻住庵 近江石山の国分山の庵。芭蕉は菅沼曲水から借りて元禄三年四月から八月までここに住んだ。その記録は『幻住庵の記』としてまとめられている。 ■反故 草稿。

朗読・解説:左大臣光永

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