伊賀上野ふたたび

スポンサーリンク

爰に草鞋をとき、かしこに杖を捨て、旅寝ながらに年の暮れければ、

年暮ぬ笠きて草鞋はきながら

といひゝも、山家に年を越て、

誰が聟ぞ歯朶に餅負ふ丑の年

現代語訳

ここに草鞋をとき、あちらに杖を捨てて、旅寝のままに年が暮れてしまうと、

年暮ぬ笠きて草鞋はきながら

笠を着て、草鞋をはいて、旅のいでたちのままに、年は暮れてしまった。

と言いつつも、山里の家に年を越して、

誰が聟ぞ歯朶に餅負ふ丑の年

いったい誰の婿だろうか。牛の背中に、羊歯を添えた鏡餅を乗せて、その牛を追い行くのは。まさに丑年の、正月のこの山里に。

語句

◆「誰が婿ぞ~」…「歯朶(しだ)」は「羊歯」。シダ植物の総称。餅に添える。「負ふ」と「追ふ」、「牛」と「丑」が掛詞。


野ざらし紀行 地図3

≫次の章 「奈良・京・伏見・辛崎・水口」
≫『野ざらし紀行』目次へ

解説:左大臣光永



──── 発売中 ────

中国語朗読つき 李白 詩と生涯
中国語と日本語による朗読、わかりやすい解説で、李白の詩の世界を学べます。中国語の学習にもおすすめです。

現代語訳つき朗読『おくのほそ道』
わかりやすい現代語訳つきで『おくのほそ道』の世界をより深く楽しめます。旅のお供に。またご自分で俳句や短歌を作られる方にも。

朗読・解説『方丈記』
ゆく河の流れは絶えずして…おなじみの書き出しで始まる鴨長明の名文。格調高い言葉のむこうに、現在にも通じる混乱した世相が見えてきます。